2009年7月4日土曜日

【ホンヨミ!】凡人として生きるということ【内山】

凡人として生きるということ 押井守

イノセンスやスカイクロラなどの映画を作った監督の書いた本。ゆるいタイトルのようで、中身は自己啓発本。過去の自分を受け入れて、成長を喜べる本。格差論やコミュニケーション論、オタク論など、どれもおもしろく為になったのだが、一番心に残っているのは「若さ」について。慶應という存在は、昔、わたしには天才がいる空間に見えていた。しかしわたしたちは凡人に過ぎず、支配層が作り出す価値観に惑わされている。「若さ」に関してもそうである。若さとは素晴らしい、青春とは美しいものだ、とわたしたちは教えられてきた。けれど、本当にそうだろうか?若い時代(今でも十分未熟であるが)に経験した物事に、自分の心に巣食うトラウマは存在しないだろうか。乗り越えたものももちろんあるが、見て見ぬふりをしてきた苦い経験はないだろうか。大人になるということは、それらの苦い思い出も全部反芻して、自分の一部とすること。つまり、乗り越えて大きくなること。そう思えば若いというのは決してプラスなものばかりではない。あのころはよかった、なんて、きっとたくさんに美化が入り込んでいる。そう思えると、今の自分がずいぶんと大きくなったような気がして、なんだか嬉しい。けれどもまだまだ未熟だから、たくさんの経験を積んで大きくなっていきたいと思う。

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