2009年7月7日火曜日

【ホンヨミ!】座右の諭吉【岸本】

 今までは割と「外国通のカタいおっさん」みたいなイメージを抱いていたが、だいぶ異なった人間味のあふれる人物だと分かった。

 なんというか、福沢諭吉は「思考の合理性」と「感性の柔軟さ」を兼ね備えた人である。それは自分の中に確固とした「核」をもっていてブレないということに依る。自分の中の核があれば、それだけを守れれば良いので捨て身になることはない。また、友人や同好の士がいなくても、別にあまり困らない。といった具合だ。

 「思考の合理性」と「感性の柔軟さ」。これは「左脳的」「右脳的」の議論に繋がる。そしてこれを両方バランスよく使うのが、これからビジネスマンに限らず、創造的とされる職業に就くひとに求められている。

 これは近代になって始めた可能になったことである。合理性や柔軟さはそれまで多くの思想や宗教、禁忌などによってがんじがらめにされていたためだ。そう考えると、福沢諭吉は日本で初めての両脳人間というかクリエイティブ・クラスというか、そういう創造的な人間だったのではないか。

 とりあえず、この本をきっかけにして今度「福翁自伝」でも読もうと思う。にしてもウチの大学の生徒はともかく、教員でどれだけの人間がちゃんと福沢の思想を理解しているのだろうか…気になるところだ。

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