2009年6月12日金曜日

【ホンヨミ!】日本のポップパワー【菊池】

 高校の時から渡米し、今アメリカの大学に通っている友人がいる。一昨年の夏、彼女がアメリカ人のボーイフレンドを連れてきた。彼は、大学でコンピュータサイエンスを専攻していたが、興味を失い、デジタルコンテンツ系の専攻に変えたと言っていた。受験生だった私は、そんな専攻があること自体、結構衝撃的だった記憶がある。彼は、日本に来たのはアキバが第一の目的だそう。彼らがアキバデートをした日の夜、私は一緒に夕食を食べに行ったが、そこでの彼の興奮度はハンパなかった。彼にとってはまさに「聖地巡礼」だったのだ。

 しかし、日本のおかしなことにも気づく。こんなに日本に飢えたアメリカ人の若者がいて、大学ではデジタルコンテンツを専攻している。彼にとって日本人はさぞかし羨ましいことだろう。しかし、日本にはデジタルコンテンツの専攻なんてほとんど聞かない。

本書を読むと、日本にはポップパワーに対する縦割行政の障壁であったり、制度上の不都合も目につく。つまり、日本は教育においても行政においてもまだまだポップパワーを生かす素地が整っていないとわかる。

 さらに、本書では、誰もがコンテンツの発信・生産者となるP2P型社会にも触れられている。このような社会において、行政はただ金銭的に支援するような政策をとってもあまり意味がないと思う。まずは、新たなコンテンツが生まれるような「場」を創出するための制度の設計が必要ではないか。イノベーションの話と共通するが、政府が資金援助など積極的に介入するより、消極的な対応(場を生むための制度設計など)をした方が、効率が良い。法学部の自分から言わせていただくと、これは大陸法に対する欧米法の考え方とも共通していて面白い。やはり成熟した社会では、自由を基礎とした欧米型の法体系が合っている気がする。

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