2009年6月9日火曜日

【書評】集中力【斉藤】

 集中力 セロンQデュモン著 ハーパー保子訳

 自分は集中力がないのではないだろうか、と生まれて初めて真剣に考えた。私は物事に集中するとき、脳を興奮状態において、やる気を出しているつもりであった。
 しかし、それは実に燃えつきやすいものだと気付かされた。物事に集中するとは、そのことのみをいかなる邪念もシャットアウトして長く安定した時間考え続けることだ。それは思っていたよりもずっと難しい。

 私はよく「今していることだけを考えろ」と言われる。何をしている時も常にその次にしなければならないことを考えてしまい、「やっていること」を楽しむことができない。自分では先を見越して物事を行っているつもりで、今だけしか見ていないことは危険なことだと思っていた。しかし、そのことこそ集中力の欠如に由来するものではなかったのではないだろうか。今していることに対して、真剣に考えてみる。目の前の人を全力で理解しようとする。それは集中力に他ならない。

 集中する、ということは必要以上にその物事について考えることではない。ある物事に対して考え込んでしまって夜も眠れず、遊んでいる時も思い悩んでしまう、という状態はそれこそ集中力が散漫している状態だ。本書に「新しい考えに注意を集中することで古い細胞は興奮状態から解放され、必要な休息をとることができる」とあった。要するにonとoffのメリハリをつけることが大切ということだ。よくスポーツでのインターバルトレーニングにおいても、「切り替えが大切」といわれている。レストの時間には何も考えずに体をだらりと休息させる。すると次に運動を開始するときにはレストをする前と同じか、あるいはそれ以上の力を発揮するエネルギーがわいてくる。思考活動においても、脳細胞を体に置き換えることができる。私たちは常に同じ細胞を使うのではない。無理に同じ細胞を使い続けようとすれば、その細胞は伸びきってしまう。勉強や仕事で疲れたから遊べない、という理論は原理的には存在しないのだ。

 集中力がない自分にとってまず実行すべきことは「今していること」だけを考えること。それができればもっとその物事に対する理解も興味も湧いてくるかもしれない。
 本書には集中力を高めるためのエクササイズがたくさん載っているが、私はそれに実際に従おうとは思わない。それはただ考えるための糸口であるから、自分で自分に合ったエクササイズを見つけていこうと思う。それを模索するだけでも、自分んに真剣に向き合うことになり、集中力がより鍛えられると思う。

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