2009年6月2日火曜日

【書評】見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み【大賀】

遠藤功著「見える化-強い企業をつくる『見える』仕組み」(2005年、東洋経済新報社)
2009年6月1日読了

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 「見える化」とはすなわち、企業の活動の様々な側面を「見える」ようにすることである。企業は、様々なことを見えない状況に陥りがちだ。根源的な問題や将来を見据えた本質的な課題が見えていない状態(近視)、足元の問題である現場の問題や異常が感知されていない状態(遠視)、同じ問題でありながら部門ごとに見方が異なる状態(不同視)、企業活動全体に霞みがかかったようにぼやっとしてよく見えない状態(白内障)-企業が陥りがちな「見えない」状態は、人間の目に起こる異常と同様の形となっている。まずは素直にそのたとえが面白いと思い、楽しくかつわかりやすく読める本だと感じた。また、「見える化」を全部で四段階に分けている説明も興味深かった。企業活動に必要な情報や事実を目に飛び込んでくる状況にする「見える化」、掘り下げて深く見ようとする「視える化」、さらに細部を見ようとする「診える化」、そして逆に全体を見ようとする「観える化」-一言で「見える」と言っても様々な段階があり、根本である「見える化」を身に付けた上でその他の視覚的行為を行うことが必要だという。筆者のたとえや図式は本当に的確でわかりやすかった。
 私が特に興味を持ったのが、「見える化」導入の際の四つの落とし穴についてだ。中でも最初の落とし穴である「IT偏重」という落とし穴にドキっとさせられた。IT技術が発達した今、何かというと私たちはインターネットやメールといった技術に頼る傾向がある。とりわけメーリングリストなどは非常に便利な道具だ。だがそこに頼ってばかりいると、実際には「見えていない」状況が作り出されてしまうのかもしれない。確かに、メールなどは能動的な「見ようとする意志」がなければつい見落とされてしまう。私自身、重要な情報を見落としてしまったこともある。今後は重要な情報ほど印刷して手元に持っておきたいと思った。

 余談だが、歌手のさだまさし氏の歌に「まほろば」というものがある。かなりマニアックな歌だが、非常に良い歌だ。そこにある歌詞の一部に、次のような文章がある。「遠い明日しか見えない僕と/足元の暗闇を気に病む君と」・・男女の関係性においても、「見えない」状況は危険なようだ。

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