99.9パーセントは仮説 竹内薫
要するに、自分が思っていることも他人が思っていることも絶対的ではなく、覆される可能性がある、だから自分が正しいと思うことだけを信じて押し通していくべきではない、ということが本書の大きなテーマっだ。相対性理論の話や、理科の実験の話などを例に、現在の科学は絶対ではなく、これから先その原理や方法が疑われるようになって、グレーゾーンに入っていく可能性を例に、すべての物事を一度はグレーゾーンであると考え常に批判精神をもつことが重要だとされている。これは当たり前といったら当たり前で、確かに世の中は仮説の集まりでしかないのだ、ということも理解できる。
では99.9パーセントの残り1パーセントは一体なんなのか。本書では、結局すべてが仮設なのだから何もかも疑ってかかる、というスタンスでは特に人間関係においてはとても不安定なものになりかねない。ある程度相手は信用できる、という前提があってこそ人間関係は築かれる、とある。自分が「信じたいこと」のない世界は辛く苦しいものだ。そのような世界ではすべてが崩れさるものとしてとらえられる。例えば、人間関係で、どうせこの相手との関係はいずれ崩れてしまうのだから、いい加減に付き合っておこう、と決めてしまえばそれはそれで楽なのだろうが、それではすべてが個人主義、自分勝手の世界になってしまう。そんな世界は豊かではない。社会は、1パーセントがあるからこそかろうじて成り立つものだと思う。この1パーセントとはもちろん「信頼すること」である。仮説の中で、自分がなにを信頼していくか、は自分で決めなければならない。そんなことはわかっていたが、本書を読んで改めて気付かされた。
2009年6月18日木曜日
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