2009年5月21日木曜日

【書評】デジタルのおもちゃ箱―MITメディアラボから見た日本【小山】

デジタルのおもちゃ箱―MITメディアラボから見た日本 (単行本)
中村 伊知哉 (著)


MITメディアラボで客員教授として参加した経験を持つ著者が、そのメディアラボの研究について主に書いている。副題の「MITメディアラボから見た日本」は本の最後のほうに、ちょっと書かれているだけなので、基本的にはメディアラボ紹介の本と考えたほうが良い。書き方はエッセーのような形で、論文のように特に何かの主張をしているわけではなく、メディアラボについての叙述である。短文で区切られた感想など、感情がストレートに伝わってきやすいので、メディアラボの技術に関する著者の驚きなどにとても共感しやすかった。
紹介されている技術はどれも斬新で面白い。例えば、液体のコンピュータという話など、夢幻と思われる内容が実際に開発されている話がある。世界が広がる。日本で、身近にある技術に触れ、ITニュースから情報を得て、最新、もしくはそれに準ずるデジタル環境にいると思っていた自分を恥じた。もっと広い、新しい、「面白い」環境が生み出せるし、現にある。技術というのは進化し続けるのだなと実感した。
特に、新しい考え方を手に入れるというよりは、視野を広げることができる、という本。触れるもの全てが、新しいという子供の頃の気持ちが、よみがえってきた。

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