竹内弘高・楠木建著『イノベーションを生みだす力』
今日のイノベーションは科学者や技術者だけでなく企業文化やサービスビジネスモデルといった様々な分野に携わっている人間がイノベーションを起こすことができる。そういったイノベーションを起こしている企業の例をあげ、それにどういう特性があるのかを解説している本。
イノベーションについて学ぶ際の入門としては、様々な実例により視野が広がり、またブルーオーシャン戦略などにも簡単に触れているため良書だと思う。
イノベーションには製品がコモディティ化、つまり日用品化することから脱却せねばならないというのが筆者の一貫した主張である。
たとえば筆者はその例としてスターバックスをあげているが、スターバックスはコーヒーというアメリカではオフィスでがぶがぶと消費されたり、ドーナツのお供に食べるといった認識しかなかったものを、「リラックスする時に飲むもの」といったカテゴリーイノベーションを起こしたのである。コーヒーにおける価値を、再定義(スターバックスでは店の雰囲気、「スターバックスでのコーヒー体験」)したのだ。
また、コモディティ化から脱却するためには、商品の値段といった目に見えやすい分野での差別化を行うよりも雰囲気といった目に見えない分野、可視性の低い分野での差別化を行えば行うほど利益を上げることができるとしている。
その例として出ていたのが任天堂の「ポケットモンスター」である。ポケモンは当時、あえて8ビットという性能の低いゲームボーイをハードとして選択し、その中でユーザーが151種のポケモンを捕まえ交換する、「赤」「緑」での出現ポケモンが違うのでどちらにするか迷うといったゲームの外でのストーリーを商品化したものである。そういったストーリーといったものはあそれまでのゲーム業界のイノベーションにはないものであり、新たな次元を創造したものである。
また、そうしたイノベーションは微分的に集約していくものではいつか限界が来てしまうために、積分的に、つまりはユーザーがその商品を使っているうちに新たな価値を発見できるような形であるのが望ましいと筆者は言っている。
顧客の使用経験とともに製品を一層よいものに仕上げていくということはインターネット社会になっている現代社会では行うべき戦略であろう。
特にゲーム業界ではwifi機能等に連動させて、ユーザーの好みにあわせそのゲーム情報を更新したり、新パッチを提供するといったことは可能であろう。
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