2009年5月22日金曜日

【書評】見える化【池亀】

強い企業と弱い企業を比較したとき、両者の間で大きく差が出ることの一つに「現場力」があろう。強い企業は、会社のビジョンを基にたてた戦略を実行する際に生じるさまざまな問題に対して、現場が当事者として解決し、成果を出していくことができるという。一方、弱い企業というのは、現場力に欠けていて、問題への対応が遅かったり、場合によっては問題自体を隠してしまうことさえある。現場が問題解決に積極的に取り組むなどということは、ごく当たり前のことのように思えるが、実際、現場が当事者意識をもつということは、特に日本企業の体制を考えると、なかなか難しいことなのかもしれない。だからこそ本書がとなえる「見える化」が必要となるわけだが、さまざまな事実や問題を見えるようにしただけで、それらに対する現場の迅速な対応がはかられるとは考えにくい。先に述べたように、多くの日本企業の体制では、現場の当事者意識を生みにくい状況にある。したがって「見える化」を会社のシステムに取り組むとともに、実際現場で働く社員の意識もこれまでの体制のものから変えていく必要があろう。非常に抽象的な言い方になってしまったが、これが私の感想である。
本書の内容は、以前読んだ『V字回復の経営』と共通するところも多いので、そちらの方も読まれることをお勧めしたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿