2009年5月22日金曜日

【書評】変われる国日本へ【菊池】

著者は、日本におけるソーシャルイノベーション、つまりインフラ・イノベーションの必要性を繰り返し主張している。日本にはイノベーションという概念は確かに存在している。しかし、「技術革新」という訳語しか存在せず、イノベーションを狭い意味でしか捉えられていない「技術偏重」のイノベーションなのだ。この部分は特に面白いと思った。横文字が苦手な年配者が主役の日本では、訳語では捉えきれない概念が存在することによって問題が出てきている面もある気もする。

そして筆者が必要性を訴えるインフラ・イノベーションとは、法律や環境におけるイノベーションであり、新たなイノベーションのためのインフラである。日本では、法制度がイノベーションの足かせとなっていることがよく言われる(日本でグーグルは生まれないなど)が、ただ欧米諸国の中途半端な真似ごとをしたところで、問題の本質的な解決にはならないと警告する。法律が足かせになるなら、もっと欧米流の法制度を取り入れるべきじゃないかと単純に考えていた自分にとっては新しい視点であった。人材教育など、イノベーションが生まれるような環境づくりを進めていくことが、より自発的でオリジナルなインフラ整備につながるという相乗効果を生んでいくのではないのかと思った。

 本書は、根拠や具体例を示してくれない不親切な面もあった。

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