2009年5月23日土曜日

【書評】日本のポップパワー【栫井】

日本のポップパワー/中村伊知哉・小野打恵

日本のポップカルチャーは大好きな分野なので、この本を読むのを楽しみにしていた。
日本の持つアニメやマンガなどの文化が世界中から好評価を受けていることはよく知られている。筆者はポップの持つ力が世界に及ぼす影響をソフトパワーと表現している。たとえば中国のように日本にあまり良くない感情を持っている国に対して、政治力のようなハードな力を行使するのではなく文化の持つソフトな力を使っていく。無理のないやり方で日本に好意を持ってもらえる、という筆者の考えに共感した。
日本国内で更にポップパワーを伸ばすための人材育成が進んでいるか、というとまだまだ不十分である。「フランスに学ぶ国家ブランド」を読んだときも思ったが、日本は文化を大切にする姿勢に少々欠けていると思う。今、日本のポップカルチャーは勢いを失いつつあると聞く。中国や韓国でも独自のアニメやマンガが広がっている中、人材育成にもっと力を注ぐべきではないかと思う。コストダウンが進みアマチュアとプロの距離が縮みつつある波に乗って、すばらしい日本作品が生まれるような政策を出せたら、日本のポップブランドは色あせることはないだろう。
今週も中村さんの本が回ってきたので、楽しんで読みたいとおもう。

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