2009年5月15日金曜日

見える化

『見える化 強い企業をつくる「見える」仕組み』 遠藤功
 
 「見える化」とは、「可視化」「目で見る管理」という意味だ。今多くの企業でこの「見える化」が実行されている。しかし著者によるとそのほとんどが「見える化」の本質を理解していない。「見える化」はとても奥が深く、実現が難しい。ビジネスは集団作業であるため、さまざまなことが「見えない」状態になっている。それを「見える」ようにするには「見せたくないもの」などでさえも「見せよう」とする意思と、「見える」知恵が必要だ。これらを達成した、トヨタなどの「見えている会社」は強い。
 このような考えに基づいて、著者は「見える化」を体系的に整理し、留意点を示しつつ実際に「見える化」に取り組んでいる企業を事細かに紹介している。
 著者曰く、企業活動は「見えない」こととの戦いである。カルロス・ゴーンは「企業にとって透明性はコストを度外視してでも不可決なものである。」とさえ言っている。確かに、トヨタや日産などの自動車産業は、企業内の不透明性による不祥事は人命をも奪いかえないので、「見える化」が真に不可欠な産業だと思う。ITの普及で情報が自由に行き来できる現在、こんなにも企業内の活動が不透明であるということに驚いた。また、上記の自動車産業の例を見てみると、作者の“「見える化」は「経営思想」そのものだ。”という考えはとても納得がいく。 

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