2009年5月14日木曜日

海部美知「パラダイス鎖国」再読

 1年ぶりに通しで読んでみると、以前と印象がだいぶ異なっている事に気づき、前より議論の筋が見える気がしました。


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 この本では国際競争を避ける日本の現状、およびそれに対する改善案を考察している。そもそも現在日本の企業の中でどれだけのものが、「グローバル企業」としてのビジョンを持っているのだろうかと気になった。

 「ハイ・コンセプト」でも述べられているように、これから多くの仕事は、低価格であるという理由で途上国や機械にアウトソーシングされる。これに先進国の我々が対抗するには、途上国の追随を振り切るだけの顧客満足度を誇る商品を生み出す必要がある。従来のものから一歩踏み込んだ商品が必要となる。経営の言葉を借りればそれは「ブルーオーシャン市場」を拓き、「破壊的技術」となる商品だ。具体的にはwii fitやプリウスなどがある。

 そもそも、IT化が進展するにつれて、生活の中心にパソコンの占める割合が大きくなり、(垂直統合、ロックインなどの戦略のせいもあり)従来の日本の家電メーカーは競争力を失いつつあるように思われる。

 こうした現状で、シリコンバレーのようなベンチャーを支える慣習、制度の変化はもっと起こるべきだ。「ぬるま湯」を整備することによってイノベーションベースの競争を促進することも重要ではある。しかし、それだけではなく、若者には早い段階から世界を見せる事も必要だ。そのためにはどうしてもトップダウンの政策方式が必要になるのかもしれない。(例えば外資企業の誘致など)

 現在は様々な業界で既得権を持つプレイヤーが有利に進んでいるが、既得権にしがみつく保守の姿勢はいずれ国際競争の中で淘汰されていくのではないか、そしてあまりに保守的であると日本全体の国益を脅かすこともあるのではないかと感じた。

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