2009年5月29日金曜日

【書評】明日の広告【岸本】

 広告をラブレターにたとえるという古典的ながらも分かりやすい例で、インターネットの登場後、いかに広告がモテなくなったのか、そしてモテるにはどうすれば良いかが書かれており、すんなり頭の中に入って来た。

 去年の広告の授業などで知っていることも多かった。その一方で「コミュニケーション・デザインは既存マスメディアをもう一度魅力的にする」という一節が興味深かった。確かにマス広告は届きにくくなり、これからの広告はネット中心に移るかもしれない。しかし、そうしたトレンドのなかでも伝えたいメッセージとその対象となる相手によって、効果的な広告手段は異なる。スラムダンクの例に現れているように、必ずしも消費者の心をつかむにはネットは必要ではない。ただ広告情報を垂れ流すだけでは従来のマスメディアと対して違いはない。

 テレビを一家で囲むお茶の間は無くなりつつあるが、様々なコンテンツメディアには「ネオ茶の間」が逆に出現し、茶の間の声を聞き取りやすくなった。このネオ茶の間がいかなるコミュニティを形成し、どのようなニーズがあるかを知ること。そしてどんな広告形態が効果的にリーチするかを考えること。それがこれからの広告に求められる要素のひとつではないか。

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