2009年5月30日土曜日

【書評】パラダイス鎖国【池亀】

『パラダイス鎖国』/ 海部美和

本書の中で筆者の海部さんは、日本の生活水準が欧米に追いついた今、人々はかつてのような海外への憧れ・興味を失って自国に自発的に閉じこもろうとする傾向があると述べ、この状況をパラダイス鎖国と呼んでいる。これは人々に限ったことではなく、ビジネスの面でも同じことが言え、日本の産業は国内の市場規模がある程度大きいために、リスクを負ってまで海外に事業を展開することを避け、内需に注力する傾向があるという。これによって国際的な競争力は落ち、こうした状態が続けば結果としてこれまで築いてきたジャパン・ブランドが消滅し、長期的に生活水準の低下を招く危険があるそうだ。

しかし私は、人々が海外に対する関心を失っているという実感はあまり持っていない。私自身わりと海外志向がつよく、周囲にも海外に長いこと住んでいた知人やこれから留学を希望する知人が多くいる。さらに、社会に出てから再び海外の大学院へ進学を希望する方達も多く目にしてきた。ビジネスの面では、映画産業や携帯産業のように国内市場に偏っているところは確かにあると思うし、本書を読んでパラダイス鎖国という今の日本の状況についてはよく分かった。しかし、それがどう日本の衰退につながるのかという因果関係がはっきりとは読み取れなかったので、パラダイス鎖国を開国する必要性について詳しく知りたいと思った。

(今週は調整週で自分の本を3冊読むということだったので、先日参加させて頂いた海部さんとの食事会の前に読ませて頂いた本書と、買って読めずにいた本の中から2冊選びました。)

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