2009年5月28日木曜日

【書評】10年後、新聞とテレビはこうなる【斉藤】

10年後、新聞とテレビはこうなる 藤原治

 本当の意味のメディアとネットの融合とは何か。201x年、全てのメディアを飲み込んだ「eプラットフォーム」が誕生する。そこでは新聞も広告も放送も全てが同等のコンテンツとなる。今までの新聞、テレビ、ネットという区別は単なるコンテンツを流すためのツールでしかなかった。eプラットフォームの世界ではそういった個々のメディアの役割は用を足さなくなる。

 このような世界が、地上波放送が終了し、完全にデジタル化される2011年から数年後に起こり得るのではないかと著者は考えている。ネットはデジタルであるから、放送がデジタル化されることによって通信と放送の融合の垣根が低くなる。そして新聞や広告もその流れに乗って、ついには一つの大きなeプラットフォーム上にすべてが終結する。

 「メディアとネットの融合」という言葉はよく聞いてことがあるし、内容もだいたいは理解していると思っていた。ライブドアなどの通信事業者がフジテレビなどテレビ局の株を保有して提携を組む。新聞社が自社のホームページを開設してネット上でも新聞が読める。これらは単なる連携にすぎないということが本書を読んでわかった。真の融合とは既存のメディアがその形を失うことだ。eプラットフォーム上ではすべてが同等のコンテンツであり、私たちは自分の必要なコンテンツのみを受ければよいので、情報過多になる心配もなくなる。しかし、本書でも述べられているように、私たちは能動的に情報を得に行くが故に、社会性を欠いてしまうのではないだろうかと思った。一般常識や社会問題に触れる機会が減ってしまうのではないか。情報過多になることは悪い面もあるが、適度に情報に対して受動的な世界も残しておくべきだと思う。

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