2009年5月22日金曜日

【書評】ブランド大繁盛【岸本】

 先日読んだ「不況の教科書」という本の中に、「今こそ値下げをするな」ということを述べている経済の専門家がいた。むやみに値下げをして、価格競争に破れるよりも、顧客満足度を重視し、「高く売る」ことで十分な利益を得ようとすべきだということだ。ユニクロなども一見安売りをしているように見えるが、それでも原価の2割ほど上乗せして「高く売る」ことを徹底しているという。これは可能な限りのコストを削り、原価を安くする。更にはデザインや広告などのブランディング戦略に力を入れるなどしているため、とのことだ。

 本書の中で著者はブランドを3つに分類しているが、その中でも「知価ブランド」の優位性を説いている。この「知価ブランド」はイメージ戦略などで消費者に優越感や非日常感を与え、主に高価格帯だと著者は説く。しかし、ユニクロのような低価格の商品を扱う企業(著者によるとこれは『大量生産ブランド』の特徴だ)でもこうした「知価ブランド」的な側面が高まっているように思われる。あくまで顧客満足度を落とす事なく、それでいて利潤は確保し、変わりゆく中でも変わらないもの(changing same)を守りながら、常に時代の変化についていく。こうした点が残るブランドの共通点ではないか。

 また、そうしたブランドを維持するための企業内の軸として、トップが掲げるビジョンが重要であるように感じた。

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