世界級のキャリアのつくり方 黒川清・石倉洋子
組織や肩書に捕らわれず、今日のグローバルな世界においてキャリア一本で勝負する黒川清さんと石倉洋子さん。育った環境や背景、活躍の分野こそ違うが、共に「国際派プロフェッショナル」である。プロである、とは組織や肩書に依存せず、一人のひととしてコミュニケーションができることである。さらに、閉塞的で内ばかりに関心がいってしまっている日本社会にとどまらずに、自分のキャリアを発揮する場として海外をも利用する。会社や帰属集団は、自分のキャリアを生かす場であるから変化するのは当たり前、そして自分のキャリアにも決して安住せずに常に次を意識する。そんなスタンスで生きるお二お人は正に国際派プロフェッショナルといえるだろう。本書は国際派プロフェッショナルに近づくためにはどのような努力が必要か、日頃からどんな心構えをすべきか、がお二人の経験を通して臨場感たっぷりに説明するものである。
「プロ」や「キャリア」と聞いても、大学生の私たちには雲の上のことであるかもしれない。しかしだからといって距離を置くのではなく、本書にもあるように早いうちから「上」を見ておくことが大切だ。誰もが必ずトップに上れるわけではないしその必要もない、トップと自分の距離を冷静に知っておくことがモチベーションにつながる、という考え方が印象に残っている。また、そのためにはお手本にしたい人とつながることが大切だ、と改めて思った。そしてつながりをつくるきっかけづくりが欠かせない。共通の経験や後援会、シンポジウムに参加することは多いにきっかけになり得る。常にアンテナを張っていなければ、と思う。
現在日本では転職など、自分が属している集団を変えることはあまりよいことだと思われていない。しかし、ある集団から出て新たな集団に入ることは、またゼロから自分の位置づけを築いていくことであるから、自分の良かった点、悪かった点を見直すよい機会になる、という考え方にとても感銘した。前の集団で築いてきた「キャラ」を今の集団においては発揮できない、そんなことで自分を失ったと悩むことはない、自分は環境に合わせて成長するものなのだから当たり前だ、と思えるようになった。
このように本書は一見ビジネスマン向けに思えるが、私たち大学生も「プロとして生きる」姿勢から学ぶことが多い。
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