2009年5月22日金曜日

【書評】次世代広告コミュニケーション【宮村】

インターネット社会の急速な進展によって、広告マーケティング/ターゲッティングの環境が著しいパラダイムシフトにさらされている。それには、webによる個人の興味関心の顕在化、情報アクセスの容易性、自社メディアを獲得した企業とった様々な背景があるが、当然の事ながら既得権を握っていたマス広告の権威や影響力は低下している。そのような状況の中で、生活者が求めるのは従来的な「広告」でも「メディア」でもなく「コミュニケーションコンテンツ」であるという。具体的には、従来のAIDMAモデルにおいて通用したように、単なるプロダクトのベネフィットを伝えるだけでなく、ベネフィットを生活者が「体験価値」として経験できるかたちに付加価値を付与し、それをネットの伝送経路の乗せていかなければならない。これがコミュニケーションコンテンツである、という。

それを実現するための具体的な方法として、マス広告にみられる「メディアミックス」的な発想だけでは不十分であり、「クロスメディア」への飛躍、すなわち「Reach * Engagement(絆)」という指標で広告の価値を測ることが大切である。Engagementを考える上では、4Dといわれる要素を段階的に組み合わせて評価していくことがもとめられるとの事や、広告の効果(レスポンス)をクリック数やページ表示数といったwebのアクションログ(行動履歴)べースで評価していくことが必要であるということだが、いずれにせよ、従来のマス広告が持っていた縦割り的な体制(クリエイティブ局、営業局といった縦割り)の崩壊は明らかであると思ったし、今後マス広告がどのように動いていくのか、大変興味深い所だなと思いました。

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