2009年5月27日水曜日

【書評】渋谷で働く社長の告白【大賀】

藤田晋著、「渋谷で働く社長の告白」(2005年、株式会社アメーバブックス)
2009年5月26日読了

***

 25歳で会社を設立、市場最年少となる26歳で上場。その後のネットバブルの崩壊と再生。本書は、社会に注目される「ネットベンチャー企業の若社長」が赤裸々に自分の生き様を語ったノンフィクションストーリーである。本書を読むまで、いわゆる若社長たちは「変人」というか、私たちとは異なる人種として見ていた。しかし実際には、彼らは夢と目標を追い求めた一人の熱意あふれる若者のひとりに過ぎなかった。サイバーエージェントという会社に魅力を感じると同時に、「夢を追い続けること」の輝きを再認識させられる本だった。
 ネットバブルが崩壊し、窮地に立たされた藤田氏を救ったのは、兄貴分であり恩人でもあるインテリジェンスの宇野社長の一言だった。もう自分の会社は駄目だ、買収されてもいいと弱音を吐いた藤田氏に対し、彼は言った。「おまえの会社なんていらねぇよ。そんな気持ちでやってたのか。よく考えろ」-非常に厳しい、しかし温かみの溢れる言葉だと思う。人は何らかの目標を抱いたとき、それに向かって走り続けることのできる力を持っている。問題は、窮地に立たされた時もそれを追い続けることができるか否かということだ。藤田氏に対して投げかけた宇野社長の言葉は、「簡単に夢を諦めるな」という力強いエールだ。宇野社長のような人物が、後々は「偉人」と呼ばれる人間を創りだすのかもしれない。
 夢を抱き追い続けることの重要さ、そして、人は一人では生きられないということを、改めて感じさせられる良書だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿