2009年5月18日月曜日

【書評】プロデューサーの仕事 【田島】

「プロデューサーの仕事」著・小島史彦

スペシャリストたちを総括する「プロデューサー」という概念を説明しつつ、「いいプロデューサーは礼儀正しい」だとか、ハウツー本っぽさも溢れる本。
「21世紀の諸問題に対応するためには従来の縦割りの学問だけではなく、諸領域を横断し指針を示すプロデューサーが必要だ。」という説明には、大学受験のとき読んだSFCの入学案内を思い出した。この本も、その概念で作られたものなのだろう。
私は現在ビッグバンドのサークルでトロンボーンを担当しているが、今年トロンボーンパートには4人の一年生が入った。2年生も4人だが、そのうち2人はレギュラーバンドで忙しく、またもう一人も文学部で三田にいるので、ある意味で私はこの一年生を育てるプロデューサーの立場にいるのかもしれない。一人一人の進度に合わせてその日の具体的な練習内容を考え、実際に指導をする。常に彼らがやる気をもって取り組めるように、褒めたり注意したり、声のかけ方にも気を遣わなくてはならない。今まで人をひっぱるということを進んでやってこなかった私だが、今回は後輩たちのためにも心から成功させたいと思う。その点、この本で示されていたプロデューサーになる方法は実際役に立つのかはわからないが、関心を持って読むことができた。
 あと「成功したプロデューサーたち」の中で小室哲哉の名前が書いてあったのが面白かった。(この本が出版されたのは99年で、TKサウンドがヒットチャートから遠ざかる前だった。)「時代の潮流を読むのに長けるのがプロデューサー」と本書には書いてあるが、しだいに潮流を見失うこともありえるのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿