エイドリアン・ブラウン著「なぜ組織は『イノベーション』をつぶすのか」(2007年、ファーストプレス)
2009年5月9日読了
***
Creativityを発揮する。言葉で言うのは簡単だが、実際に行うのは難しい。自分自身のCreativityを発揮するためにはそれに相応しい場と努力が必要だ。また、他者のCreativityを発揮させるためにも、自分自身の姿勢を変えなければならない。今後、金ゼミではグループ研究を行うこととなる。その際に、グループの構成員それぞれが持つCreativityをいかに有効活用できるかが、研究の良し悪しをきめるだろう。本書はぜひ、ゼミ生皆に目を通してもらいたい。
筆者はまずCreativityの定義付けを行っている。Creativeな人、というと、生まれつき絵が上手い人や小説が書ける人などといった「天性の芸術的センスを持った人」をイメージしがちだが、実際にはそうではない。人は、「自分自身はCreativeな人間だ」と感じればその分だけCreativityを発揮できるのだという。まずは自分の意識変革が必要だということになる。また次に、他者のCreativityを引き出すためには、「思考のスキル」「モチベーション」「専門知識」の融合が必要となる。すなわち人間は、自身のCreativityが認められるような(あるいはそれが磨かれるような)環境に属し、そこでの努力を重ねれば十分にCreativeになれるのだ。
本書で挙げられている以下の点が、個人的に印象に残ったので記したい。Creativeなチームに必要だとされている要素だ。
●明確な目標があり、それを全員が認識していること
●締め切りがある
●上下関係で縛らない
●多様性を許容する
チームのCreativityを十分に発揮するために必要な要素は、今後のグループ研究でもぜひ利用していきたいスタンスだ。とりわけ私が難しいと思うのは、「多様性を許容する」姿勢である。いろいろな意見が出てくると、そのひとつひとつを許容することが面倒になり、「とりあえずコレでいいんじゃない?」と妥協したくなってしまう。筆者の言うところの「集団思考」に陥りがちになってしまうだろう。それではCreativeなチームは生まれない。このことをしっかりと念頭に置いておきたいと思った。
しかし私個人の考えを言わせてもらうと、この「Creativityを引き出す姿勢」は研究やビジネスの際には重要となるが、普段の生活(家族との関係や友人との関係)に必ずしも応用できるものではないと思う。家族の中では、むしろ「集団思考」をすることで良い関係を築けるのではないか。CreativeモードとOFFモードを上手く割り切って使い分けたいと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿