2010年1月14日木曜日

【ホンヨミ!0115①】次に来るメディアは何か【戸高】

河内孝著『次に来るメディアは何か』

 授業の課題で読みました。よってレポート課題をそのまま転載しますが、文学部社会学専攻3年戸高功資のレポートです、これは(コピペ予防策)。


 「次ぎに来るメディア」とはなんだろうかと心躍らせながらページをめくっていったが、内容は少し期待はずれであった。
 そこに書かれていたのはジャーナリスト、津田大介氏によるイベント実況中継や、企業の新たな広告宣伝ツール、またそんなこと関係なしに140文字という、心地よい制限の中、相手の存在を既存のSNSのように深く意識をせず、自分の気の向くままにまさしく「つぶやく」ことができるメディアとして注目されている「twitter」。
 また放送というものが既存の権力であるテレビ局やラジオ局といったものが独占していたが、「ユーストリーム」や「ニコニコ動画」の生放送などによって、「YouTube」などで見られていた個人が動画を発信するということに、リアルタイム性が付加されてきている。
 こういったまさに今使われている、既存のテレビや新聞、出版といった古いメディアに変わる、まさに「新しいメディア」について書いてあるものだと思っていたのだが、がちがちの「メディア再編」論であるように感じた。
 しかし同時に私はメディアの再編論、特にメディアコングロマリットなどについては言葉を知っているだけでほとんど無知であったので大変勉強になった。
 たしかにメディアの再編についてはこれから考えていかねばならない問題だろう。先ほども述べたように、個人でも生放送がネット上で可能になってきた時代だからこそ、本著にも書いてあったような日本の古い形態のままである法体系を、デジタルに対応したものに変えなければならない。
 
 また、既存のメディアはネットを敵として捉えすぎるきらいがあると私は実感している。例えば動画共有サイトを見てみても、角川書店のように質の高い公式チャンネルを出しているコンテンツホルダーもいるが、多くのコンテンツホルダーは動画共有サイトへ広告目的の再生時間の短く、また質の低い動画を提供するか、そもそもネットへ進出していかないかのどちらかである。
 出版社も、電子書籍の登場にあわてふためいているのが現状だろう。新聞社も同じくだ。産經新聞ではi-Phoneで読者は無料で新聞が読めるようになっている。デジタルで本や新聞を読めるようになれば紙媒体としての価値はなくなるのだろうか。
 そんなことはないだろう。紙媒体はなくなることはないと私は思うし、出版不況とは言われているが、むしろかつての好況の状況にも持っていけるのではないかと私は考えている。
 例えば講談社のマンガ雑誌に「モーニング2」という青年向けの雑誌がある。この雑誌は実際ウェブで無料で雑誌の内容をそのまま公開するといった方法をとったのだが、それを行った時の売り上げが、それまでの売り上げよりも高かったのだ。
 その理由は、ネットに公開されるものと、実売される雑誌とでマンガの内容を少しかえ、間違い探し形式にしたり、また付録を付けて販売する等があるようだ。
 このように少しの工夫を行うだけで雑誌の売り上げを伸ばすことは可能なのだ。ネットを敵と見なすのではなく、ネットとの親和性を高めていくことによってまだまだ既存のメディアとしての雑誌にも生き残る道はいくらでも存在しているはずだ。

 またやはり全てのメディアにおいてtwitterを活用していくべきだろう。テレビにおいても、ドラマ番組やアニメでは劇中の登場人物のアカウントをとり、つぶやかせることで様々なキャンペーンを繰り広げることが可能である。
 よくtwitterにおけるジャーナリズムが議論になることもある。本書の中にも、新しいジャーナリズムを創造する上では、きちんと訓練された記者がいることを前提としている。しかし、twitterにおける「つぶやき」にジャーナリズムというものをあまり私は気にする必要はないのではないかと考える。
 現代社会に生きる人間はテレビ番組もリアルタイムで見ることはほとんどなく、HDレコーダーにためて暇のある時に見るといったスタイルである。そんなスタイルではテレビCMは見られることがない。またニュース等も新聞を読むのではなく、ネットで必要な情報のみを検索、またはRSSなどで手に入れる。まさに自分の欲しい情報のみを手に入れて、好きな時に見るといった時代なのだ。これはtwitterで自分がつぶやきを見たい人のみをフォローして情報を得るといったこともつながってくるだろう。
 しかし、このような状況だと、情報が多種多様に存在しており、まさに情報大洪水の状況である。そんな情報が溢れる時代だからこそ、既存のテレビ、出版、新聞といったメディアは主に2つの役割を担うことが重要となってくるだろう。
 1つは情報を消費者が得やすい形に編集するといった役割。これは今とそう変わらないが、その編集の役割に先ほどの「モーニング2」のような読者に楽しみを与えるような情報編集、まとめをおこなう必要がある。つまりは様々なキャンペーンをウェブと親和性を持たせて行うことが重要となってくるだろう。
 もう1つは情報監視の役割。言わば新聞が担ってきたのと同じだ。本書にも書いていたように、新聞が政治権力を監視しているからこそ秩序が守られる。この役割は絶対に失ってはいけない。

 以上までみてきたように、『次にくるメディア』、ここでいう次ぎにくるメディアはコングロマリットなメディア体系ではなく、言葉通りの意味のメディア、が来ても既存のメディアには役割がたくさんある。
 その役割をいかに消費者が楽しめるように果たすことができるか、消費者の期待を越えるように果たすことができるかといったことが重要となってくるだろう。

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