2010年1月6日水曜日

【ホンヨミ!0105②】森の食べ方【村山】

本書は、文化人類学者である筆者がボルネオ島のロングハウスに二年ほど住み込み、「フィールドワーク」を通してイバン(東南アジアはマレーシアのサラワク州で生活する民族)の人々の文化とそれを規定する根拠を解き明かそうとした作品になっている。イバンの人々の世界は、「ロングハウス」とその周辺につくられる焼き畑と、それを包む「森林」によって構成されている。彼らにとって、森は焼き畑地や野生の動植物を恵んでくれる資源としての自然として認識されていて、彼らは豊かな恵みを森から得るために、森と付き合う一定の仕方、つまり、文化をかたくなに遵守しようとしている。まさに自分たちの周りにある環境との共生を目指す原点の世界と言えるのではないだろうか。
そこで、ロングハウスについて考えていきたいと思う。ロングハウスとは、英語の文字通り「長い家」のことで、イバン語のルマフ・パンジャィを直訳したものである。全村人がこのロングハウスの中で暮らしており、ロングハウスには、そこに住む人々の関係性が内包されている。ここで言う人間関係とは、共住生活を営むことによる協力関係や共同コミュニティの形成、引いてはプライバシーへの配慮などである。ここで、私が注目したいのがプライバシーに関してである。ロングハウスのような共同生活では、村人みんなが一つ屋根の下で暮らしているため、個人のプライバシーがどのような形で保障されているのか疑問に思ったからだ。このとき注意したいのは、ここで指摘するプライバシーとは法的権利としてのプライバシーではなく、人々の日常生活における秘め事や恥じらいのあり方と、それに対する他者の関わり方についてである。つまり、言い換えると、ロングハウスでの生活における個人的領域とはどのようなものか、ということである。
また、イバンの人々の生活は自然の資源という名の森に支えられながら、共同生活を行う人々との持ちつ持たれつといった協力関係によって成り立っている。近代社会として発展を遂げたわれわれ日本人には彼らの生活を想像することは容易なことではないかもしれないが、彼らの生活形態を理解することは出来る。われわれに求められていることは、そんな他者、他民族の伝統や多様性を理解、尊重し、彼らのような人間と共生していくことなのではないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿