2009年12月1日火曜日

【ホンヨミ!1204①】地域間交流が外交を変える【斉藤】

 地域間交流が外交を変える~鳥取ー朝鮮半島の「ある試み」~
 
【要点】
・当時鳥取県知事であった片山喜博氏による鳥取県と韓国の交流事業の促進

・180年前に鳥取県に漂着した朝鮮(韓国)の江原道の漂流民の子孫を捜索し、再び鳥取県と江原道の交流をはかる試み→現地に赴いての活動、現地役人との個人的関わり

・交流事業を県・道間で定期的に行う→定期的に行うことで両者間の隔たりを徐々になくす

・交流だけでなく、鳥取・江原道間の定期航路の開拓へ発展

・物流活性化のためのインフラ整備

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・記念碑や施設だけで内容の伴わない「ハード」が独り歩きした交流事業からの脱出

・環太平洋だけでなく環日本海の重要視

・地域間交流→向こうの人員の社会への受け入れ姿勢→多様性の視点の獲得

・国交という一本のパイプだけでなく、自治体同士の交流というパイプを何本も持っておく

・「国民の意識という『土台』の上に『外交』はある」

【感想】
国交という問題を考えたとき、その関係が悪化してしまうリスクは常に存在する。両国間の橋渡しが一本しかないのならば、それは常に危険にさらされているためにぎこちないものになる。しかし、この鳥取県の試みのように、両国の自治体同士が国家レベルとは関係なく、自主的に作り上げたパイプが何本も存在すれば、国家同士の関係も程よい緊張感に収まるのだと思う。地域間交流が外交を支えるとはこのようなことで、複数の自治体が行ってこそ実現するのだと思った。地域間交流というと、文化・スポーツ、などのイベントを通して行う紋切り型が思い浮かぶ。それはそれで定期的に行うことで、両国(地域)の相互理解に役立つと思うが、そこから何かしらの具体的な発展がなければ単なる文化交流で終わってしまう。この鳥取県の試みでは、交流が名だけでなく実質的なのに加えて、定期航路の開拓やインフラ整備にまで発展し、そこから自国(県)にも相手にも利益を生んでいる。よく話では聞くが、まさに自治体が国を支える例として学ぶべきものだと思う。

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