2009年12月17日木曜日

【ホンヨミ!1218①】知識創造の方法論【戸高】

野中郁次郎・紺野登著『知識創造の方法論』


 知識経済時代に生き残っていくためには、何かあたらしい手法や方法論が必要でないのか。そのような考え方に陥ってしまいがちだが、本著では、過去の哲学、社会学的アプローチと何ら変わらないと言ったことを説いている。

 社会学的アプローチからすると、消費者の目線に立った、消費者と同じ空間で一緒に生活し、その消費者が抱える潜在的な問題やニーズを洗い出す。
 
 そうした消費者目線に立ったフィールドワークに基づいて、そこで得た知識をしっかりと言語化し、体系的にまとめる。つまり、いくつかの変数毎のアイデアをコンセプトとして成立させる。
 
 次はそのコンセプトに基づいてプロダクトに移っていくのだが、そこでも全てを統合していく手法が必要となってくる。つまり実用的検証の段階だ。

 また、この本で印象に残った言葉として、「ボディストーミング」という言葉だ。ただ単にブレストするだけでなく、実際に自分の身体を動かして、消費者が実際に経験をしている場に自分が飛び込み、そこで自分も同じく消費者と同じように体験をして(上記のフィールドワークと同じ)、そこで得た知を元にブレストをしないと独りよがりのアイデアになってしまう。
 
 実際にホンダでとある車を海外向けに新たに開発する際に、現地に飛び、スーパーで買い物をし、そこでワゴンカートを押し、商品を買い、その重さ、冷たさ等を感じてから、車に詰め込むといった所までの経験を通して開発を行ったそうだ。

 自分が持つ知識と、現場で得た知識。この2つの知識を統合していくスキルが求められる時代になっている。

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