2009年12月14日月曜日

【ホンヨミ!1218①】ニコニコ動画が未来を作る‐ドワンゴ物語【大賀】

佐々木俊尚著「ニコニコ動画が未来を作る‐ドワンゴ物語」(2009年、アスキー新書)
2009年12月14日読了

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 勉強中の息抜きに、と、ニコニコ動画を開いてみた先日のこと。トップページに大きく踊る広告の内容に思わず目を奪われた。「ドワンゴ新卒採用!」…ドワンゴって、会社だったのか?!恥ずかしながら私はそれまで、ただのオタクのボランティア集団が運営している動画配信サイトだと思っていたのだ。「新卒採用」という言葉を見ると興味が湧いてしまうのは就活生の性とでもいうべきか。早速、ドワンゴホームページにアクセスをしてみることとした。こじんまりとしたサイトではあるが、2009年度の企業優秀賞に選ばれていたり、採用が「一発芸」方式だったりと、ところどころにその独自性と「面白さ」が溢れている。(ちなみに採用試験は、動画投稿→ニコニコ動画上での公開面接→最終面接の順らしい。公開面接とは…自分の応答に対し一体どんなコメントがつくのか、見たい気はする…)‐本書は、そんな「ドワンゴ」の成り立ちをニコニコ動画のビジネスモデルを、ストーリー形式で語ったものである。これを読めば、ニコニコ動画を単なる「娯楽」として切り捨てることはできなくなるだろう。
 本書において、ニコニコ動画のコンテンツは「動画と一体になったコメント」であるとされている。劇場で、人気の舞台俳優や芸人が出てきた時に観客が一斉に歓声を上げるように。あるいは、感動のシーンで観客が一体となって咽び泣くように。つまらない演技に対してヤジが飛ぶように。ニコニコ動画のコメント機能は、観客の反応により劇場のコンテンツがより「完成」に近いものとなる仕組みと同じなのだ。また、動画制作者と視聴者の双方向的なコミュニケーションによりコンテンツそのものがブラッシュアップされる可能性も高い。最近目につくのが、「歌を作ってみた」→「歌ってみた」→「歌に絵をつけてみた」→「歌に動画をつkてみた」…という様々な主体によるアレンジ合戦だが、このような一連の行為が可能になるのも、ニコニコ動画ならではの特性だろう。

 最近、テレビを見ていると、「あー…コメントが無いとつまらないな…」と感じてしまう自分は、相当の末期なのか、それとも現代人の性なのか…。ともあれ、ニコニコ動画の今後の成長に期待が高まる。

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