2009年12月10日木曜日

【ホンヨミ!1211②】「自治」をつくる【斉藤】

 「自治」をつくる /片山善博・塩川正十郎 第1部:「自治」の足腰を鍛える

 先行き不確かな今の日本の政治を立て直すためには、「自治」の精神が不可欠であり、その自治を実際に実践していく地方自治体の在り方や国との関係性を見直していくべきだ、というのが本書の中で一貫した考え方である。(まだ全部読み終わっていないが、1部を読んだところでそう感じた)

1部では、本当の意味での地方自治を行うためには、市民一人ひとりの「考える力」が必要であるが、現在その力が衰えていることに問題意識を置いている。
何故考える力が衰えたかといえば、それは考える機会が減ったからに他ならない。大きいスケールで考えると、そもそも地方分権は日本行政全体の一部として考えられていて、自治体は政府の意向に従って機能していけばよいととらえられがちであるという問題。小さなスケールでは、自治体運営に本来は積極的にかかわらなければならないはずの市民の教育の問題。この教育の一環として、読書の問題が取り上げられていて興味深かった。大学図書館が情報に特化されているのではないか、という問題提起があり、本の価値を情報価値と対等にとらえているのではないかという指摘は最もだと思う。今論文で電子書籍を調べているが、これなんかはまさに「情報の更新性」と「アクセス機能」という点で期待されている。これがアメリカでは授業に使われたり、図書館でも着々と導入されているが、まず図書館に求める役割を今一度考えなおす必要がある。最新の情報が常に回転している状態を求めるのであれば、もはや図書館という空間は必要ないのかもしれないのだから。逆に鳥取県では、活気のなくなった図書館(学校のものを含む)に、司書を置くことで若い世代が本にありつくようになったという「図書館改革」に成功しているのだ。

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