2009年11月9日月曜日

【ホンヨミ!】デザイン思考の仕事術【戸高】

棚橋弘季著『デザイン思考の仕事術』

 デザインは生活に秩序を提案し実現するもの
 物に意味を与える仕事
 デザインとは、人間自身の生活、生き方、そして、生命としてのあり方を提案する仕事

 本著の「はじめに」の部分でデザインとはこういった風に定義されている。デザインと聞くとどうしても「なんかかっこいいもの」「高尚で一般人には立ち入れない分野」といった認識をしてしまいがちだが、そんな障壁を一気に取り払ってくれる言葉だ。
 そして人が生きていく上での問題を認知し、問題解決に役立つ道具や手段を考え、それが現実に我々が生きていく上で利用可能な段階までもっていくための手段に昇華させること、そういったことを仕事の流れに組み込むことが、デザイン思考の仕事術なのだ。
 デザイン思考とついているからといって、グラフィックやアートについて考えるのではない、先ほど書いたように、問題を解決し、その解決策を生活に提案する所へ持っていくための考え方だ。つまり、マーケティングや組織運営、はたまた自分の将来について考えることもデザインなのである。

 では、デザイン思考においてどういった手段がとられるのか。基本的には以下のような手順がとられる。

 
 
 ここで、私は4番の「ペルソナ」に注目したい。なぜなら、以前参加させていただいたKDPで、ペルソナの定義は何かと議論になったからだ。

 消費者が抱えている問題を解決すべき商品の開発の際に、「ペルソナ」を行って、ある特定の1人のターゲットを作り上げる場合がある。利用者像をモデル化し、利用時の役割、目的、ゴールを明記。その利用者の期待が何かを検討するための情報を記述するものだ。



 利用者像を明確化することで利用者がどんな要望を潜在的に持っているのかを検討できるようになる。

 そしてそのペルソナがどんなシーンで商品やサービスをどのように利用されるかえがいたものがシナリオである。



 こういった、ペルソナや、シナリオを決める際、その商品の対象にあった、架空の人物を想定して進めるべきか、また、実際その対象となるような人、数人にインタビューして、統合的な問題を洗い出してからペルソナ作成にあたるべきかといった論争に少しなっていた。
 この本では、主に前者の手法を取り入れているようだったが、結論としてはどちらでもいいらしい。
 しかし、僕は後者を行ってから、前者に行くべきだと思う。そうしないと、実際にユーザーテストを行い、改善へと持っていく過程で、様々な弊害が出てくると思うからだ。そこで、事前にユーザーの要望を聞き、プロトタイプの作成を行っていると、実際の感想との誤差が少なく、また詳細な改善を行うことが出来ると考えるからだ。

 また、ターゲットを絞る際に気をつけねばならないと思うことは、そのターゲットを幅広く設定しすぎないこと。例えば、上の図のペルソナだと、シューカツ生というだけで、少し幅が広すぎるのではないかと思われる。
 シューカツ生であっても、男なのか女なのか、そして手帳をつける習慣があるのかないのか(ここでいかに手帳をつけることがめんどくさくなく、楽しいことかといったことを狙う必要があるだろう)など、ターゲットはフォーカスして深める必要があるだろう。
 
 以前、design touchに行った際も、何かをデザインし、結果を出すためには、その対象や扱うコンセプトをフォーカスして深めていくことが必要だと、IDEOの社員が実際に言っていた。なんでも取り入れてしまえ!となると結局何を狙っているのかが伝わらなくなり、その商品の魅力が小さくなってしまう。
 デザイン、デザイン思考を行う際にも、「選択と集中」が必要なのだ。

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