嶌信彦著「日本の『世界商品』力」(2009年、集英社新書)
2009年10月1日読了
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今年の2月から3月にかけて、マルタ共和国で3週間の語学留学をした。ヨーロッパに浮かぶ小さな孤島での語学留学。私は出発前まで、それほど不安に思っていなかった。「日本」や「日本人」は、ヨーロッパにおいても強い存在感を持っているだろうと信じ切っていたからだ。日本のマスメディアが報道する「世界の中の日本」は、「クール・ジャパン」という言葉が象徴している通りの、大きな力を持ったものだ。私もその観念にとらわれていた。・・しかし実際にマルタに到着してみて私は愕然とした。ホストファミリーがまず日本の位置を知らない。「ジャパンってここでしょう?」と言いながらインドネシアの島々を示してくる。そんなマルタの人々が、日本のアニメやマンガのことを知っているわけがない。道行く人も同様だった。日本から輸入した(であろう)日本語の書いてある中古車を乗り回しながら、私に向かって「ニーハオ!」と話しかけてくる。日本人はどうやら、マルタ共和国にとっては「未知の存在」だったらしい。
日本人が思っているほど、日本は世界的に大きな存在感があるわけではないのだ。
そうは言っても、日本のアニメやマンガ、キャラクターといった―いわゆる「コンテンツの人気が高いのは事実である。「ポケモンブーム」に代表されるように、日本製のアニメは非常に外国人ウケが良い。ただ問題なのは、日本がそれら魅力的なコンテンツを海外へ輸出していない、あるいは輸出の方法が下手であるということだ。コンテンツの魅力と海外市場収益が比例していない。非常に勿体ないことである。
より強く、そして魅力的な日本の価値を世界に伝えることで、日本経済が活性化する可能性はあるのではないか。
2009年10月1日木曜日
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