Tipping Pointとは、例えばそれまで全く人気が無かったブランドがいきなり爆発的に流行するといったように、すべての事が劇的に変化するその瞬間の閾値の事だ。社会に物凄い影響を与えるような、アイデアやプロダクトやメッセージや行動、あるいは口コミといったものは、ある臨界点(Tipping Point)を超えると、たとえば豚インフルエンザの流行のように感染的に一気にぱっと広がることがある。そのような「感染」現象には、「感染的であること」「小さな変化が大きな変化をもたらしていること」「変化が急激であること」という3つの特徴があると著者は説明する。つまり、変化は着実かつ徐々に生じるわけではなく、加速度的な勢いで発生し一気に天文学的な値のレベルにまで発展するという事だ。
この本では、商品の販促であったり、何かしらのムーブメントを創り出す事を考えた時に、そのような感染的伝播を意図的に仕掛けることは可能なのか否か。その事にたいしてTipping Pointという切り口からの様々な視点が提供される。この本でおそらく最も重要なのは、
・少数者の法則
・粘りの法則
・背景の力
という「ティッピングポイントの3原則」という視点だと思う。社会にTipping Pointを仕掛けるためには、「社交」性・説得力・情報収集力などの卓越した社会的能力をもった「少数」の人々によって感染を始動させ、そこに人々の意識に粘り着くようなメッセージを載せて情報提示する。また、当該の社会環境や時代の状況のようなところにも気づきにくいヒントが隠れている、といったような事がポイントとなるが、すごく感じたのは、Tipping Pointという視点は、本書で述べられていたようなプロダクトの販促事例だけでなく、例えば社会にインパクトを与える「イノベーション」を具体的にどのように引き起こすか、という事を考える際にも有効な考え方だということだ。なぜなら、新しい価値が人々に(感染的に)広がらなくては、イノべーションとは言えないと思うからである。
そのような意味で、社会にイノベーションを起こすために、どのような領域に自分の力を集中すればうまくいくのか、という観点から読んでみてもまた新しい気づきを与えてくれる本だと思います。
2009年9月11日金曜日
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