2009年9月8日火曜日

書評 SUBJECT TO CHANGE

SUBJECT TO CHANGE

米国を代表する、ユーザーエクスペリエンスをテーマに活動するコンサルティングファームのAdaptive path社のメンバーが新たな価値を生み出す方法論について書いたものである。社会人の中でも企画開発部などに所属する人向けの本なので自分とは少し遠い 話ではあるが、コンペや新しい何かを提案するときに役立つと思う。

この本を読んで切実に感じたことは、消費者は経験を求めているという事だ。例えば、いつでもどこでも人と話せれば、携帯電話などもいらない。携帯電話に変わって、いつでも連絡を取れるサービスが存在すればそちらでもいいのだ。この文脈で言えば、私たちが飲み物を買うのは、飲む「経験」が欲しいからだと言い換えることができる。

僕の中で、「経験」は付加価値でしかなった。例えば、観光地の物価が高いのは「観光地で買う」という経験がある種のブランド的付加価値として上乗せされる からという認識だった。しかし、実際は商品そのものよりも経験を求めていることに気がつく。なぜなら、観光地などで買うものは実際の生活ではほとんど使わず、普段なら絶対購入しないようなものが多いからだ。この「経験」についてサービス提供者側から考えると、新しいサービスや商品の開発のコツは、いかに消費者の欲しい経験を生み出すかを考えることになる。

本書でも言われているように、革新的なサービスのヒントは消費者の行動の中にある。ならば、売れる商品は、「人の体験に集中し人の生活の複雑性を深く掘り下げ、それをサポートしたもの」ということになる。そのための詳しい方法論は、本書に書かれているため割愛するがゼミ生のみなさんにも是非読んでほしい一冊だ。

最後にAdaptive path社がコンサルティングをする際によく用いるエクスペリエンス戦略についてまとめておきます。

エクスペリエンス戦略
「エクスペリエンス戦略」は、満足がいくエクスペリエンスを作り出す基礎になるもの。戦略の検討は、クライアントが持つニーズ、期待、行動や言動などを明らか にするために、様々なツールを用いた調査を行うことから開始される。そして次に、ビジネス上のゴールや市場環境、製品とそのクライアント特有のエクスペリ エンス戦略を開発するために必須となる組織能力を系統立てて理解し、先に実施した調査の結果と組み合わせていく。
http://www.designit.jp/archives/2008/07/adaptive_path.html

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