我々の日常生活の身の回りにある衣服や日用品に始まり、世界を覆っているものはブランドであり、社会の富の基本形態は商品というよりも、ブランドになった。つまり、現代社会の富は「商品の集積」ではなく、「ブランドの集積」にあるのである。
この言葉は、正に現代社会の消費者に見られる商品購入の本質を突いた表現であると思う。つまり、私たちが何かしらの商品、特に衣服、バッグ、アクセサリーなどを購入する時、商品そのもの(商品の持つ機能性)が欲しくて購入するのか、それとも大衆に認知された商品が持つブランドという価値を求めて購入するのかということである。私は、後者だと思う。現代社会の人々は、商品に付与されたブランドという付加価値を求めて商品を購入しているのだと、思う。その証拠に、例えば(値段の差は考えないものとして)、シャツを一枚購入するにしても、もし単にシャツという商品が欲しいのであれば、どのメーカーが展開するシャツでも構わないはずである。しかし、人々は、自分が日頃から利用しているお気に入りのメーカーが展開するシャツを求めようとする。つまり、どのようなシャツ(着心地やデザイン)かということよりも、どのメーカーが出したシャツかということの方が、現代の消費者にとっては重要になってくるということの証である。なぜなら、人々が求めているのは商品自体というよりも、むしろ、商品に与えられたブランドという付加価値だからである。このことは、私自身も含め、自分の行動を振り返って見れば、多くの人に当てはまることではないだろうか。
しかし、かつては「大量消費社会」の名の下に大量の商品を生産しては、消費してきたが、現代では、エコや地球温暖化などの地球環境への配慮も叫ばれ、少しずつではあるが確実に「持続可能な社会」へと社会が移行してきている。例えば、有名なハリウッドスターたちでさえ、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を排出しない、いわゆるエコカーに乗って、持続可能な社会への貢献をアピールするようになってきている。このような時代背景の中で、誰かがやっているから自分もという訳ではないが、限られた資源の中で持続可能な社会を実現するためにも、一人一人が自分の欲求を満たすために必要以上のブランド品を購入するのではなく、自分にとって本当に必要なものは何なのかということを考えなおす時期がやってきたのではないだろうか。
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