2009年7月31日金曜日

【ホンヨミ!】安心社会から信頼社会へ【金光】

『安心社会から信頼社会へ』山岸俊男

かつて、日本は信頼を必要としない環境だった。なぜならコミットメントの作成による安心があったからだ。組織に属することで自分たちを保護し、ある意味、外部を排除することで安心感を得ていた。信頼できるか否かを調べる心配もない環境だった。
しかし今、安心崩壊の危機にある。かつて「安心」は安定した社会によってもたらされていた。その安定は、集団や関係の安定性が、内部の勝手な行動をコントロールしていたことによるものだった。集団は内に対しては安心し、よそ者に対して強い不信を示すという特徴がある。現在の日本では、今までのような関係を維持することによるメリットよりも、それに伴う機会費用の方が多くなっているのだ。
個人主義のアメリカ人に比べて日本人が安定した集団主義を好む、というイメージは正解ではない。このような行動傾向の原因は、本人の意向というよりもそのように行動した方が過ごしやすい環境に置かれていることであるからだ。つまり、社会への適応行動としてあらわれた傾向は、根本にある社会環境を変えなくてはならない。
これは自分の解釈なので間違っているかもしれないが、今までの日本がいつも一定の相手との関係によって確実に80の利益を目指す集団組織だとすると、これからは安定はしていないけれど、選択肢を増やして時にはマイナス~100以上の利益のある可能性に向かう、ひらかれた組織→つまりマイナスを減らすために「信頼」が必要といえるかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿