2009年7月10日金曜日

【ホンヨミ】就活のバカヤロー【菊池】

 大学三年の後半になると皆が一斉に就職活動を始める、日本特有の文化に対して疑問を呈する本書。一時期かなり流行っていた気がする。やはりみんな就活に対する疑問を潜在的に持っていて、本書はそれを体系的に代弁してくれているのだと思う。

 僕が慶應に入って最初の学部ガイダンスを受けた時のこと。ある教授が「法学部政治学科は一体何をするとこなの?将来の仕事に何が役立つの?という質問をよく受けるが、大学のことと将来の職のことはほとんど関係ないから、心配しなくてよい」と言っていた。この教授は自分の教えることにプライドはないのか、と当時は思ったが、問題はそう単純なものではない。大学と就職のシステムはセット。会社は、従順で無難な人材をほしがる。このようなシステムの下、大学での勉強は何の役に立つのであろうか。

 そう考えていた中、恐縮ですが彼女と話してて妙にしっくりときたことがあった。文学部にすでに定年退職を迎えたおじさんが学生でいるらしく、その人が言うに、大学はようは広い教養を身につけるとこで、人間的な魅力や文化的素養を身につける。テクニックは会社に入ってから学べばよいということだった。

今まで、こういう話はあまり認めたくなかった。大学は、専門的な勉強を死ぬほど頑張っていくべきだと。けれども、色々な人とかかわったり、本を読んでいるうちに最近、それだけでは全然足りないのだと本当に思う。狭いものにとらわれてしまってはだめなんだ。自戒をこめて。

0 件のコメント:

コメントを投稿