2009年7月7日火曜日

【ホンヨミ!】フランスに学ぶ国家ブランド【戸高】

平林博著『フランスに学ぶ国家ブランド』

 関係ないけど「フランスに学ぶ国家ブランド」とgoogle先生に聞いたら、金ゼミブログの記事が2件目に登場しました。

 さて、フランスに学ぶ国家ブランドとのことですが、フランスの一般的イメージを考えてみると、「きれい」「はなやか」「おしゃれ」といったキーワードが上がってくると思われる。
 しかし現実は街並みはきれいでも公衆衛生はそこまでの高レベルではなく、よく臭いといった話を聞きます。
 なのにどうしてフランスが文化の最先端だというイメージを持続させることができるのかということを考えると、それは政府がそのイメージをブランディングするために莫大な予算を使っているからだ。フランス語を守るために各国に施設を設立したり、またフランスのODAのかなりの部分がフランス語普及のために使われると知った時は衝撃だった。
 そして、さらに文化を最優先事項に置いているだけではなく、国民一人一人が自国文化についてしっかりとDNA単位ですりこまれているとのことだ。それは、フランスの街並みがそうさせるのだという。
 対して日本はどうだろう。まず文化自体はすぐれたものを持っており、事実、フランスでもジャポニズムの流行、さらに近年では日本のサブカルチャーが流行し、パリの若者の中でもファッション、マンガ、アニメなどが注目されている。
 だが、文化自体のレベルは高いが、それを発信する能力は乏しいというしかない。財政予算もフランスには遠く及ばず、国家予算の0.1%を占めるのみだ(フランスは国家予算の1%)。
 また、文化発信、それも先ほどのべたフランスや世界でも人気のあるサブカルチャーを配信するために、「国立メディア芸術総合センター」を設立する審議会を設けてもいるが、どういったコンテンツをどういった基準で扱うのかといった内容はいまだ謎のままで見切り発車の感が否めない。
 まず、マンガ、アニメを「メディア芸術」とひとまとめにするところが文化庁のいけすかないところである。世界に誇るべきコンテンツは「マンガ」であり、「アニメ」だ。
 また、この施設はそこでアニメやマンガを実際に鑑賞する、体験の場になるのだそうだ。こんなものができたらただのマンガ喫茶と変わらない状況に陥ってしまうのではなかろうか。それこそこういった国立の施設が集めた、絶版になってしまったマンガや、今では市場に出回っていない資料的価値の高いアニメを鑑賞することが可能なのは好ましいかもしれないが、「じゃあ○○の×巻でたらいくべ。国立だからマンガ喫茶よりも安いし。」といった状況にもなりかねない。文化を発信し、広めようとする場であるはずが、自分で自分の首を絞めていることになるのかもしないのだ。
 そもそも経済効果等も見込んでいるらしいのだが、確かにインターネットの普及により、今や中学生、もっといえば小学生でも深夜アニメを簡単に享受し、そのための情報を得ることができる時代になった。そういった背景で業界全体の活気が挙がっており、事実年に2回開かれるコミックマーケットの1回あたりの経済効果は百億円以上とも言われているが、その発端は同人、つまり同好の士が集まることにより意味をなすものである。表現の自由を叫び、自分の好きな物を自分の好きな人と共有するといった理念が働いているため、国の関与を最も嫌う人種の市場である。最近でも、児童ポルノ法改正に対し、「悪法。悪法。」と異議を立てるオタクは数知れない(そもそもネット世論に動かされて、その現状を知らずに悪法だと無知のまま叫んでいる人々もいるだろうが)。そんな国と市場のミスマッチの上で、「国立メディア芸術総合センター」を作っても、意味をなすのだろうか。
 
 長々と、不必要なことがらも書いてしまったが、つまりは日本はやはり明確な指針を持っていない所に問題がある。すぐさま矛盾が見受けられてしまうのだ。
 その点フランスは、1本のしっかりとした軸、国のブランドを保持し、その上でサルコジ大統領は旧体制からの脱却を声高に叫んでいる。
 今後、政局がどう転ぶか楽みな時期ではあるが、しっかりとした軸と、明確で強い意思を持った人にリーダーになってほしいものだ。

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