2009年7月2日木曜日

【ホンヨミ!】テレビCM崩壊【戸高】

Joseph Jaffe著・織田浩一監修・西脇千賀子、水野さより訳『テレビCM崩壊』

 マスメディアCM(テレビ)の批判本です。確かに最近のテレビCMは見ててもつまらないとは個人的に思います。
 この本で述べられているのは、消費者が商品を選ぶ時代になってきた、つまりメディア側に力があった時代は終わり、消費者に力が移った。だからメディアは消費者に歩み寄り、もっと情報を集めなければならない、消費者志向のCM、マーケティングを行わなければならないということ。
 ネット広告の伸びが08年度は前年度比16.3%増で、新聞を抜く日も近いとは言われているが、果たしてその効果が絶大的なものかどうかといわれれば微妙だ。むしろテレビ広告よりも全体的には低いのではないのかとも思ってしまう。
 ネットやケータイの普及で確かに我々がテレビに割く時間帯は減少してしまった。これは事実だ。しかしテレビは、テレビCMは広く認知させるといった意味では圧倒的有利を持っている。
 一方ウェブの広告は、企業が自身のサイトを開いたり、コミュニティサイトで囲い込んでのマーケティングなども開かれてはいるものの、大半がバナー広告、検索連動型広告、リスティング広告である。つまり、テレビは文字、音声、動画を利用した、ビジュアルイメージで多大なインパクトを与えられるが、ネットでは主に文字での情報が基本なのだ。
 最近、YouTubeでも動画を開くと画面下に広告が映し出されるようになったが、ハッキリ言って視聴者の私からすれば鬱陶しいだけだ。内容も見ずにすぐ閉じてしまう。
 それならばいっそのこと動画を見る最初の15秒だけでも飛ばすことができない広告を挿入した方が効果は出るのではなかろうか。もちろんそれを行うとユーザーが他の動画共有サイトへ逃げてしまうといった懸念もあるが、そこまでしないと広告というものを見なくなっている状況まで来ているのだ。
 ならどうすればよいのか。ネットの特性は消費者も一緒に体験が可能であることが特徴としてあげられる。「SLAM DUNK1億部突破キャンペーン」の時も、実際に読者がコメントを挿入し、湘北高校対山王工業の試合会場のスタンドをいっぱいにするといった戦略が練られ、大成功した。
 これは商品に関する、購買を促す種類の広告ではないが、やはり消費者が何かしらの形で購入前、もしくは購入後に、企業サイトで参加し、経験を共有するといった動きのマーケティングはネットでしかできないことだ。
 このネットでしかできない、そして消費者が体験を通じて商品を楽しむことができるサービスを拡張させていく必要があるだろう。

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