著者はあの有名ブロガーで経済学者の池田信夫氏(http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo)。
このブログは必見です。日本の抱える多くの問題(雇用や著作権の問題など)について言及しており、非常に勉強になります。
ハイエクは20世紀を代表するリバタリアニズムの経済学者。本書では特に、彼が唱えた‘自由’の意義について述べられている。恐らく『市場を創る』の第12章でやる内容と似てくるのではないかと思うので、予習より理解を深めたい方は一読すると良いだろう。
本書で筆者が頻繁に述べているのは、「人間は神ではない」ということ。とくに、需給のバランスで価格が自然と決定する価格メカニズムに対し、社会主義計画経済では、経済の目的から価格まで何もかも官僚が計算し決めていた。ここには膨大な計算があり明らかに人間のキャパを超えているのだ。‘自由’をもととする市場メカニズムの意義はこの自然に素早く決まるという効率性なのである。これは様々な分野にも当てはまる。例えばこのホンヨミ!シリーズで読む本でも頻繁に出てくるが、フラット型組織の利点は、神様であるトップが全てを決定するトップダウン型組織と異なり、情報の流れが効率的である点や現場で専門的見識を持った者がより現状に沿った判断ができることにある。これも、自由に基づいた組織の「人間(トップ)は神ではない」という前提と共通すると思う。
しかし、なんでもアリの自由では様々な問題が出てくるのは自明だ。全て価格メカニズムに任せることで何が起こると想定できるだろうか?身近なことだと、先の原油価格の異常な高騰が良い例だ。ヘッジファンドなどの実需を伴わない膨大なマネーにより、健全な価格形成がされなくなってしまうのである。そこで、『市場を創る』で学んでいるような制度設計が必要になってくるのである。
本書は日本の著作権法についても述べていて、これに関しても書きたいが、キリがなくなるので、気になる方は新書で読みやすいのでぜひ読んでいただきたいと思う。勉強になります。
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