三枝匡著「V字回復の経営-2年で会社を変えられますか」(2001年、日本経済新聞社)
2009年5月17日読了
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本書の内容はフィクションである。しかし、実際の会社の例をいくつか組み合わせたというだけあり、リアリティに溢れている。思わず生唾を飲み込んでしまうほどだ。私たち学生には未知の世界ともいえる「社会」そして「企業」・・しかし本書に書かれていることはけして私たちにとって「異なる世界」のものではない。近い将来、誰しもが経験するかもしれないことなのだ。自分の勤めている会社が、今まで信じてきたところが、もうおしまいだと言われるほどの業績悪化となってしまった時、私たちは何をすべきなのか?どこが問題で、それをどのように変えていくべきなのか?本書を読むと答えが導き出せるのではないか。
ストーリーの中で一貫して唱えられていることがある。それは、「日本的な企業の欠点」だ。「事なかれ主義」を美徳としてきた日本人の気質がそのまま表れてしまっているような日本型企業。明らかな問題が起きたとしても、そこから目を背けがちな人々。お世話になった同期や上司への「恩」から、彼らに対する批判を口にできない人々。そして、自らの持つ問題点を認めようとしない人々。全ての失敗の温床はここにある。これは企業のみならず日本社会における数多くのコミュニティにも当てはまる現象のように思う。サークルであれ、ゼミであれ、古くから続いた伝統を持つものであればどのコミュニティにおいても、「変革」をすることは難しい。たとえそのコミュニティ自体が存続の危機にさらされていたとしても、だ。
問題点はどこにあるのかをあぶり出す作業として社員が行った「500枚のカード」を出す手法が印象的だった。思いつく限りの問題点や課題をあぶり出し、そのあとにそれらをグループ分けし、解決策を考えるという作業は、今後の論文や就職活動においても役立ちそうだ。ぜひ応用してみたい。
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