2009年5月5日火曜日

上杉隆著「ジャーナリズム崩壊」を読んで

上杉隆著「ジャーナリズム崩壊」(幻冬社新書、2008年)
2009年5月4日読了

***

 NHK報道局勤務、衆議院議員公設秘書、ニューヨークタイムズ支局取材記者を経てフリーランスジャーナリストとなった筆者が、日本のジャーナリズムの実態を徹底的に暴きだした本。真の「ジャーナリズム」とは言い難い日本のマスコミ体制に対する痛烈な批判が書かれている。

 閉鎖的なコミュニティの中で記者同士が報道内容の「カンニング」をし合い、あるいは担当政治家と癒着する記者クラブ制度。この日本独自の制度によって、日本のジャーナリズムは真の「ジャーナリズム」に必要とされるべき姿勢-権力の監視(ウォッチドック)-を身につけることができていない。またその他にも、「組織人」としての意識がぬぐえない記者たちの存在や、ストレートニュースの速報ばかりが載せられる「通信社」的な新聞社の体制、匿名報道が一般的であること・・なども問題点として挙げられている。政治家秘書、及びニューヨークタイムズの記者として働いていたという筆者だからこそできる日本型ジャーナリズムの「内部告発」とでもいうべき本だ。この本を読んでいると、「日本のジャーナリズムはダメなのかもしれない・・・」と諦めの嘆息が出てきてしまう。
 しかし個人的な意見を言わせてもらえば、私はこの筆者の意見に同意できない部分の方が多かった。確かに日本のジャーナリズムに問題点があることは事実だ。しかし、それに対する批判ばかり浴びせているのはどうだろうか?私は大学2年次から新聞記者さんと共にシンポジウムの手伝いをさせていただいているが、彼らの多くは素敵な人ばかりだった。日本のマスコミ業界の問題点を見据え、今後どうしていくべきかをしっかりと考えている人が居る。日本のジャーナリズムは、その「体制」としては駄目なものかもしれない。しかし個々人に焦点を当てれば素晴らしいジャーナリストは数多くいるはずだ。こうした人々がいる限り、日本のジャーナリズムにも可能性は残っていると私は思いたい。

 さらに個人的な意見になるが、どうにも私は上杉氏の文体が好きではなかった。何かと「皮肉」や「上から目線」が多いような気がして、読んでいて胃のあたりがムカムカすることもあった。彼が批判的精神に満ちた人なのはわかったが、「じゃあ今後日本のジャーナリズムはどうするべきなのか?」という具体的な結論を示してほしかった、というのが本音だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿