2009年5月29日金曜日

【書評】ウェブ進化論【岸本】

 正直、この本を自分はナメていた。2006年始めの時点でのトレンドがまとまっており、当時読んでいればなと思った。(本書に登場する「こちら側」「あちら側」の議論は今のクラウドコンピューティングを巡る議論と変わらない。Googleの企業文化などにも言及されている。)

 途中に登場する「総表現社会で飯は食えるのか」という命題に対し、本書では、飯を食うには、少なくとも先進国においては当分従来のメディアのチャネルを通じていかなければならないといって問題を先送りにしている。しかし、現在テレビなどの従来のメディアのビジネスモデルは揺らぎ始め、いよいよプラットホームとコンテンツプロバイダという別のモデルへとシフトすることが現実味を帯びてきた。いざ、後者へシフトした際にどれだけ飯を食うことが出来るのか。自由にコンテンツが開発・販売できるiPhoneのApp storeでは個人のデベロッパなどは収益化に苦戦しており、またアプリの単価が下がって来ているという。リナックスのように「just for fun」ならば構わないが、本気で食っていこうという人が既存のメディアから離れた時にどうやって食べていけば良いのか。代替するビジネスモデルの確立が求められている。

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