2010年1月6日水曜日

【ホンヨミ!0105⑤】サルバドールの朝【田島】

サルバドールの朝

フランコによるスペイン独裁体制時代を描いた作品。私は今までフランコ政権に対する知識が乏しく、スペインに対しても情熱と闘牛の国という文化面からの明るいイメージしか持っていなかった。しかし内戦からの歴史を知ると、スペインという国が抱えた闇と危うさを感じる。またこの作品の中には禁止されたカスティーリャ語を密かに話すシーンなどが描かれ、スペインの地域主義も感じることができた。

この映画は実話をもとにした作品であり、サルバドールというフランコ政権のもとで最後に死刑になった実在の青年を描いた物語である。サルバドールは反政府活動と、警官殺し(正当防衛に近い)の罪で死刑となる。実際警官たちともみ合ったシーンをみていると、ゲリラ側も警官側も同じ死者を出しているのに、警察側の罪は問われずサルバドールのみが死刑になることを素直に「おかしなことだなあ」と感じてしまった。このフランコ政権のような理不尽で抑圧的な国家や警察の姿を見ると、私たちは国家という権力の強大さを再認識する。現代は法律によって市民から武器を奪い無用な暴力を禁止している時代である。武器、つまり「力」という名前の「怪物」は警察という国家権力に集中している。「法律」とは現代において怪物を抑制し(市民)、また逆に怪物を開放できる(警察)魔法使いのようなものだなあと感じた。だからこそ、法律家は天秤でなければならないし、私たちは魔法使いが不公平なくちゃんとをしているか監視していかなければならない。

現在スペインではこの映画を始め、フランコ時代を再認識・再構成しようという試みが進んでいるらしい。現実が客観的な「歴史」になるには時間を要する。しかし、それを待っているだけでは現実の問題を解決することはできない。歴史を勉強することは、過去に陶酔することではなく、現在によりよく向き合うための方法とするべきだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿