2009年8月30日日曜日

政治とアニメ

 こんにちは。今日不在者投票に行ってきましたが、人であふれていて今回の衆院選に対する関心の深さを身をもって感じることができました。

 さて、投票を行う上で各政党の政策、マニフェストを比較するのは当然のことで、主に景気対策や雇用、教育・子育てなどに注目が集まっています。しかし今回のブログではアニメと政治のかかわりについて少し書きたいと思います。

 僕が以前から書評をアップする際にも取り上げていた「国立メディア芸術総合センター(仮称)」というものに対する自民党と民主党の対応の差が一部で注目されています。この「国立メディア芸術総合センター(仮称)」は、「クールジャパン」と称され、海外でも注目を集めている日本のアニメやマンガを「芸術」としてとらえ、国が117億円の予算をかけて施設を作るといったものです。
 この建設案は自民党が提案したものですが、民主党は「箱もの行政でしかない」と大反対しています(http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/090828/osk0908280303006-n1.htm)。実際にアニメーター側からの意見でも反対が多く、「お金を出すなら現場に使って」「アニメを政治の道具にしないで」といった意見も出ています(http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090822AT1G3001Z21082009.html)。
 実際、クールジャパンと騒がれている割にはアニメーターの現場の厳しさは一般職のそれとは比較にならないほど厳しいものです。http://www.mypress.jp/v1_writers/tyryk/こちらのサイトにもまとめられているように、新人アニメーターの月収は6万円ほどでしかありません。そんな業界でも世界一のクオリティの作品を作り続けている日本アニメーション業界を突き動かすエネルギーは、アニメーターの作品にかける情熱である、と僕は思います。ただ単純に好きだからつらくても頑張ることができる。
 しかし、そのアニメに「政治」という要素が絡んでくるとどうしてもその情熱が冷めてしまう気がしてなりません。現場のことをしっかりと理解していない政治家に「クールジャパンだ。」と言われて膨大な予算の下、ただ施設をつくられてもそれは作り手の声を無視したただの箱でしかないのです。

 そもそも日本は「クールジャパン」を推進していますが、その政策に明確なビジョンがあるとはとても思えません。

【90年代から「クールジャパン」が議論されるきっかけとなったグローバル化やネットワークによる自由なコンテンツ流通は、国内外の消費者が積極的にメディアコンテンツに対するアプローチを行うようになった結果であった。しかし、事業者はその状況を活用することなく、むしろその進展を否定し、抑える方向に走る傾向が強かった。そのため、近年になっての従来の流通経路の崩壊ショックはより大きなものとなり、その国内市場のテコ入れにコンテンツ産業促進政策が費やされ、本来的な目的である積極的な海外展開にまでは手が回らない状況が続いている。

 加えて、日本固有の商習慣やメディア産業構造による海外との取引の困難さ、日本市場と比べて対象となるアジア圏の個別国市場規模では圧倒的な違いが確実にある。国際展開を望まれている当事者=メディアやコンテンツ事業者にとっては、大きなコストをかけて国際展開するメリットはあまり見えない。日本だけでも十二分に儲かるのだ。それゆえに、まさに「ガラパゴス島」状態が続いてきた。】

 という風な記述がこちらのコラム(http://japan.cnet.com/column/yuji_mori/story/0,3800087763,20392031,00.htm)にある。まさしく日本のアニメ、コンテンツに対する政策は、細かい部分で修正されながらも大きく見れば変化していないのだ。
 僕自身はやはりまず現場を見直すべきだと思う。ニコニコ動画や同人市場がにぎわい、さらにネットツールの進展で「誰でもプロクリエイタ―になることができる。」と言われている時代であり、確かにネットで注目を集めプロになったクリエイタ―もいるが、やはり賃金や労働環境の面で、いざプロになるというとどうしても障壁が高くなる。現場環境が整備されないままならば、これ以上の成長は見込めず、また明確なビジョンがないまま政治道具にされることで、モチベーションの低下にもつながる。
 モノを創るのはヒトである。そのヒトのことを第一に考えた政策を打ち出してほしいものです。


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 そんなこんなでぼくのなつやすみも後半戦にさしかかろうとしてますが、前半戦はびっくりするほど誰かと一緒にいます。
 4期生とも絡むことが多く、なかなかに楽しい夏休みです。最後に写真でも貼って終わります。







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