2010年2月22日月曜日

春休みブログアップ:おすすめの本

日本流/松岡正剛

京都や鎌倉にあるような寺社、田舎に広がる田園風景、六本木や新宿のネオン。私は、全部引っ括めて日本という国が好きなのだが、どうしてなのか上手く言葉で説明出来ない。本書にそのヒントをもらった気がした。
世界も良いけど、まず自国!という持論に基づいて、おすすめの一冊にさせていただきます。

今の日本人は「歌を忘れたカナリヤ」だと著者は云う。
日本文化は、多様なエッセンスが一途な哲学によって繋がっている。
それが何の産物かは諸説あるだろうが、私は「自分を上位に置かない協調性の文化」だと思っている。自分と環境の境界線を、時間軸と言わず場所と言わず曖昧に捉えている。自分を主張しすぎないところに、日本の雅を感じる。
そんな哲学を持っているからこそ、「見立て」の文化が進化したのだろう。
見立ての基本にあるのは、物真似・もじり・借用だ。ことば遊び、だじゃれを面白がったり、引歌を好んだり、借景の美しさに嘆息したり。個性第一の文化だったら、こんなものは流行らないだろう。
ただし、ただの猿真似に終わらないのが日本文化。物事の内外に潜む「おもむき」を見出して自分なりの哲学に基づいて再現する。1つのモノから、現在・過去・未来さまざまな視点から想起しているのが垣間見えるから、面白い。
自分を主張しない、日本流は自分の哲学を見失ってへつらうことではない。環境に適応しながら自分の世界を高めていくこと。+αの価値を付与していくこと。
日本人ならではの感覚を忘れないように努めなくてはと感じた。

先日、泉鏡花の本を読んだ。明治頃の文学に1番強く日本を感じるのは、古典でもなく現代文でもない文章がそこにあるからだ。引歌、連想もふんだんに盛り込まれていて、とても面白い。
日本流を読んだら、実践篇として明治文学も読んでみると面白いかもしれない。

1 件のコメント:

  1. 自分を主張しすぎないっていう日本の雅…萌の「voice or die」を読んだあとに見ると正反対に見えるね!でもどっちも使う場面に応じて、どちらも大切だと思いました。「見立て」文化関連で、『「縮み」志向の日本人』も共感できるかもしれないので、機会があったら是非読んでみてくださいな!私もこれ読んでみます!

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