そして、ひと粒のひかり
ラテンアメリカのコロンビアにある花工場で働く若い女性マリアが、苦しい現状から脱出するため麻薬の運び屋となりアメリカへと渡る物語。本でしか知らなかった、コロンビアという国の、飢餓とまではいかないものの先進国に這い上がることが出来ない絶対的な貧しさの壁、経済的な閉塞感がマリアの生活を通して映像で伝わってくる。
現在南米から危険を冒してアメリカに渡る者、金のために麻薬密売など犯罪に手を染める者はあとをたたないという。そのままアメリカに定住するものは「ヒスパニック」と呼ばれ、アメリカで新たな経済圏を確立しつつある。人間は資本主義で本当に幸せになることができるのだろうか。資本主義のあるところに必ず貧困は発生し、より豊かな方向へ飽くなき移動は続いていく。人間の思想には多様性があることが望ましいが、市場が社会主義を飲み込んだように、資本主義は世界を巻き込み続ける。豊かさを指向して旅立つマリアの姿に、何か腑に落ちないものも感じてしまった。
子どもの頃は純粋にアメリカはすごいと思っていたけれども、ヒスパニックの問題や麻薬の問題などアメリカの様々な社会問題を見るにつけ、実はこの国は破綻しているのではないかとの疑念も持った。
2010年1月6日水曜日
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