2009年12月2日水曜日

【ホンヨミ!1204①】フロー体験 喜びの現象学 M.チクセントミハイ著 今村浩明訳【宮村】

フロー(Flow)とは、一つの活動そのものに完全にのめり込み、深く集中仕切っている時に発生する「流れているような」精神的状態および経験のことを指す。フロー状態に入っている人は、活動に深く没入仕切ってしまうことによって、時間経過の感覚が歪み(一分が一時間のように感じられたり、逆に一時間が一瞬のように感じられたり)、我を忘れて、行為そのものにすべての注意を集中させる事ができる。そのようなフロー状態は、行為の一瞬一瞬から楽しさを引き出す経験に繋がることから、人間にとっての本質的な楽しさや幸福を実現する事と密接に関係する。

フローがもたらす深い楽しさを獲得するのは容易な事ではなく、意識の統制を訓練することで、思いのままに注意を集中させる具体的な「能力」を身に付ける必要があるそうだ。そのような注意集中によってフロー体験に自分を投入できるようになると、フローの結果、自己はより「複雑な」存在に成長することができるのだという。つまり、自分自身の独自性を高め、他者との差別化を図る事につながるような、希少価値の高い能力の獲得が可能になるのである。

このようなフローと自己の成長(複雑化)の関係性は、金先生が以前仰っていた「What is your net contribution?(自分だけがもっている本当の価値は何か)」という事を考える際、自分自身の希少性を常に模索し高めて続けて行く上で、理解し実践すべき一つの視点であり方法論であるような気がしました。フロー理論は、例えばフローと身体性、フローと思考、集団におけるフローといったような様々な複雑な関係性や条件、文脈の中で研究がなされているという事もあり、まだまだ理解が及ばないため、もう少し関連する書籍や論文を読んでみたいと思います。

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