前回のポストの後半部分に出てきた江渡浩一郎さんの本。ちなみに去年の輪読書の「Content's Future」(津田さん、小寺さんの本なので未読ならば是非)でも同様の話をされています。
繰り返しになるのでざっくりまとめると、プログラミングの手法のXPやWikipediaに利用されているWikiのシステムの設計思想には、建築家クリストファー・アレグザンダーの建築コンセプト「パターン・ランゲージ」がある。それらは設計者だけでなく、利用者も一緒になって設計に参加できることを念頭に置いています。これは本当に利用者が必要なことは利用者自身が一番良く知っているという考えに基づいています。
まず、パターン・ランゲージの章。本書で述べられている例で日本の東野高校が登場します。これは結果として失敗してしまいます。考えられる理由として挙げられているのが設計者と利用者の間にゼネコンが入ってしまったために、「利用者自信の手で」改善することが出来なくなったためです。
逆に言えば、利用者自身が変化に携わることができれば利用者が普段の生活の中で気づいたニーズをみたすことができると言えるでしょう。これは物質的な束縛から解き放たれたコンピュータ、プログラミング、インターネットなどの世界で実現されます。
では、実際どのようにXPやWikiに取り入れられていったのでしょうか。1つには常にユーザーを参加させる、あるいはフィードバックを得るといった方法です。また1つには前回も言及した「アジャイル・アプローチ」などがあります。
顧客の抱えている隠れたニーズ――P&G流に言えば「unmet needs」、IDEO流に言えば「thoughtless acts」を浮き上がらせる手段として、XPでは開発チームが行うべきいくつかのプラクティスの中に「顧客のプラクティス」を設けています。
ここでは、例えば求められているストーリー(顧客の目に見える機能単位のシステム)を短い文章にし、カードに記す。それを踏まえて短期的に何をすべきか決め、ユーザーテストを繰り返しながら確認し、「しょっちゅうリリース」します。
この本を読んで、より一層前回の考えが強化されたように感じました。
- パターンランゲージ/Wiki
設計者とユーザーが共通の前提を持って、共通の言語でやり取りする
- デザイン思考/XP
設計者がプロトタイピング、ユーザーテストを繰り返すことでユーザーの潜在的
ニーズを汲み取る(より「人間中心」)
そしてより一層感じたのが、「これではiPodは作れないんじゃないか」という疑問の念でした。あのようなプロダクトはデザイン思考云々ではなく、ブルーオーシャン的なもっとマクロな視点からデザインすることが重要なのかもしれません。
ちなみに江渡さんのプレゼンが見れるので、興味のある方はぜひ。
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