2009年9月6日日曜日

「夏休み書評」 ブランドのデザイン

ブランドのデザイン/川島蓉子

改めてブランド論の勉強しようと読んでみた。
経営学的なブランドの定義とは少し違って、ブランド資本などの話ではなく表層的な部分のブランドについて述べられていた。自分が求めていた内容ではなかったが、ブランドとデザインの関係についてかかれてあり、勉強になりました。

筆者はブランド=商品や企業を取り巻くイメージの全体と定義している。よって、筆者が言うブランドのデザインは商品・企業イメージ全体のイメージをデザインすることだと言える。

ブランドイメージを育成する際に、常に頭において置かねばならないことがある。消費者が見ているのは、「商品」と「広告」であるということだ。当たり前のことだが、日本にはこの原則を忘れている企業が多いように思える。だから、「よいものを作れば売れる」という考えが、はびこっているのだろう。日本にありがちな「よいものを作れば売れる」という考えは捨てなくてはならない。品質の良い商品や技術力の高い会社が生き残るとはいえない。モノにあふれてしまった現代の競争社会において、良い商品を作ることは、生き残るために必要な最小限のことなのだろう。現在求められているのは、商品、企業全体のイメージを消費者に共感してもらうことだ。
 
強いブランドイメージをつくるには商品のデザイン力が欠かせない。しかも、ただカッコいい、おしゃれなデザインや広告を世に出せばよいというわけではない。ブランドイメージを育むには広告やパッケージデザインの一貫性が求められる。自分を初めとする消費者は意外と単発的なその場しのぎのデザイン、広告を見破るからだ。類似品が出たことによる値下げや無駄な広告の乱発などは、企業が浮き足だっていることが見え透いたりするものだ。ブランドイメージの強化、育成の際に求められているのはデザインとブランドイメージに一貫性を持たせつつ消費者に訴求することだ。

しかし、ブランドイメージに一貫性を求めるのは難しい。時代は変わるからだ。時代の変化によって廃れてしまう商品は多い。この原因は、変化に対応すること、一貫性を持つことという相反する2つのことを成し遂げることの難しさにあると思う。だからロングセラーは生まれにくい。この際に、重要になるのは商品、企業がもつ「意味」だと思う。企業がもつ意味が明確になっていれば、変化していても一貫性は生まれるはずだ。なぜなら、「意味」は「軸」や「基本理念」と言い換えることもでき、それに合致しないものは、採用せずに済むからだ。この「意味」についてHAKUHODO DESIGNの永井氏の言葉がある。
「ブランディングの根本には、『意味の設計』がある。その商品が世の中や人々の中でどのような意味を持つのかを明確にすることが必要」
永井氏の言う意味がやっとわかった気がした瞬間だった。

まとめると、ブランドを育てるためには、「意味」を明確化させた上で、消費者に対する広告などの訴求方法を変化させていくことが必要だ。そうすることで、ブランドに一貫性を持たせながら時代の変化にも追いつく事ができる。この文章を書くなかで前に先生が仰っていた「手段の柔軟化」の話を思い出したりもした。

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