V字回復の経営/ 三枝匡
経営不振に陥った企業が急激な業績回復に至るまでの二年間の改革がつづられている。
その中で、この企業が抱える様々な問題点、例えば組織内部の強力な政治性や、責任の所在の見えない非効率的な生産・販売システム、などが浮き彫りとなっている。これらの問題を解決するのに最も重要となるのが、改革の実行よりもむしろ、実行に至るまでのプロセスである。そこには、現実を直視し問題の根本的な原因を見極めること、そして改革の主導となる「気骨」と「論理性」を備えた人材を見つけ出し、問題の原因を抜本的に変えるような論理的戦略を創造することが不可欠である。
本書で語られている企業の問題点というのは、株主支配型の米国企業とは違い、「会社=人生の全てを託した人々の集団」と考えて人を切ることに慎重な体質をもつ多くの日本企業にも共通するものであり、またこうした企業では、組織の利害よりも個人の利害が重視されている場合が多い。本書は、そうした日本企業の今後の経営のあり方の大きなヒントとなる内容である。
また私自身、これから社会に出ていく身としてとても参考になった。一見お堅い本感じの本に見えるが、中身は濃いにもかかわらず、ストーリー仕立てで大変面白く読みやすのでお勧めしたい。
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