フューチャー・オブ・ワーク/ トマス・W・マローン
新たなビジネス組織の在り方として、従来の集中化されたピラミッド型組織とは逆の、分散化型組織を提示している。この「分散化」とは、問題にかかわる者を意思決定に積極的に参加させることである。これにより、働く人間のモチベーションや自主性、柔軟性、満足感が向上することが期待される。その一方で、迅速な意思決定やリスク・品質管理、情報共有、スケールメリットの活用が難しくなるなどというデメリットもあり、一概にすべての場合で分散化が上手く機能するとは言えない。
そこで筆者は、ITの進歩で情報伝達コストが大幅に減少した現代において、今後分散化傾向は強まっていくだろうと指摘した上で、その時々の状況、あるいは抱える問題に応じて、集中化・分散化を組み合わせていくことが重要であると主張している。また同時に、経営者も以前の<命令と管理>のマネジメントから、<調整と育成>のマネジメント、すなわち集中化の度合や形態のバランスを調整し、そして社員の本来持っている力を十分発揮できるよう育成するという経営モデルへ転換していく必要があると述べている。
集中化・分散化のどちらかを組織形態として全面的に適用するのではなく、個々の問題に応じて集中化・分散化のより効果的な一方を適用するという選択は、私にとって新しい発想であり、また大変勉強になった。
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